一般社団法人りぶそるでは、3人の理事と監事2人の5人が中心になって、活動を行っています。
なかでも、女性電気工事士として当法人を立ち上げた松浦鈴枝・代表理事を筆頭に、2人の理事(長村仁美・鳥羽理恵)も女性という組織体制になっています。
「男女平等」「女性活躍推進」という言葉や社会的改革が行われていますが、まだまだ男性社会が根強く色濃い日本という国。
なかでも、女性の働き手が少ない建設業において「これまでの自分たちの経験が世の中に役立つように」と、社会改革に一石投じたい想いで活動を続けています。
私たちは、年齢・性別・学歴問わず、あらゆるマイノリティの個性が活かせる環境づくりに力を注いでいます。
男女共同で行いながら役割分担をすることが大事
代表理事・松浦鈴枝
主幹エリア関西
(電気工事士 会社経営)
一般社団法人りぶそるは、大阪市北区に事務所があります。
主に、電気工事士などの資格取得や就労支援事業をはじめ、企業団体と連携した実習および雇用開発の実施を行っています。
2015年10月当時は、現場職である女性の技術者・職人を育成する場所として、事業をスタートさせました。
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私は、学校を卒業し1992年に電気工事関係の職に就いたことで、第二種電気工事士の資格を取得しました。
それまでは、男性社会が根強い電気工事士業界に、自分が入り混むとは思ってもいなかったのが正直なところです。
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第二種電気工事士の資格を持ちながらも、『女性の電気工事士』のイメージがわかなかった自分が、事業を興す切っ掛けとなったのが、『LEDのOEM販売』でした。
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取得していた第二種電気工事士の資格を活かして、LEDの取り付け工事業を切り拓きながら、2009年から2年間個人事業主として活動を続けた後に、2011年に電気工事の法人会社を設立したのです。
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実際、私自身が電気工事士として仕事を進めるうちに、企業やお客様から『女性技術者のニーズが非常に高い』ことがわかりました。
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特に、独り暮らしの女性の方が、「工事には女性の職人に来てもらいたい」といった声を多く頂戴しています。
それは、家の中に招き入れる職人が、女性同士であることの安心感と、「気軽に聞きたいことが聞ける」といったものでした。
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とはいえ、女性ではなく男性にしかできない仕事があることも事実です。男性と女性が仕事を取りあうのではなく、大きな仕事は男性、細やかな仕事は女性。
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このように、男女共同で行いながら役割分担をすることで、作業効率がよくなるうえに、人材不足も解消されるのではないでしょうか。
性別に関わらず、強く生きていくためには手に職をつけることです。
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協会立ち上げ時は、『女性の技術者育成』のみに着目していましたが、上述の理由から、性別関わらず『次世代育成』へシフトさせる活動を始めました。
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年齢・性別・学歴を問わず、建設業界におけるあらゆるマイノリティの個性を活かした「技術・サービスの創造と向上」を行う教育事業を本格的に取組んでいます。
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現在、当方法人では、オンライン上で資格講座を学んでいただけるように、e-ラーニングをスタートさせました。
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また、第二種電気工事士を中心に横展開させ、「鍵交換工事士(当法人・民間資格)」「修繕、水回り作業」が行える技術や積算経験を身に付けていただける環境も整っています。
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これからも、賛助企業会員、協賛企業会員さまにお力添えいただきながら、共有できる仲間と役割分担し、積極性を持って取り組める組織づくりを行います。そして、多くの人の笑顔を増やしていくことを当法人はめざしています。
「学び」と「実務」を一体にし働く環境を整えるところまでフォロー
理事・長村仁美
主幹エリア東海
(住宅設備メンテナンス・リフォーム会社経営)
私は、住宅設備メンテナンス・リフォーム会社を営んでいます。
建築業界の慢性的な問題のひとつに、職人不足があげられており、当社においても例外ではありません。
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職人不足の問題を解消するために、自社スタッフの多能工化に取り組んでいた頃、お客さまからあるご要望をいただきました。
それは、「できるなら、家の中の修繕は女性の職人さんにお願いしたい」というものでした。
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高齢者や一人暮らしの女性が家の中に他人を招き入れるのは、不安な思いがあるようです。
少しでもこのような不安を解消するために、「女性の職人を」と思うのではないでしょうか。
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私自身も「女性の職人のニーズ」と育成の必要性を感じていたものの、男性社会のイメージの強さから、なかなか実行に移せずにおりました。
しかし、「スキルアップしたい」「技術を身につけたい」と思っていても、さまざまな理由から実行に移せない方が大半だと思います。
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そんな時、私と同じような想いを持っていた、当法人の理事長に出会いました。
お互いが、現場の話や現状に対する想いを伝え合ううちに、「本格的に女性の職人育成に携わりたい」と思うようになったのです。
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「自立したい」という思いをもつ女性は多数居ます。しかし、資格をとり、技術を身につけても仕事に結びつけることができている方はごくわずかです
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このような経験から、協会では単に「技術を身に着ける」「資格を取る」だけの場所にするつもりはありません。
「学び」と「実務」を一体にし、働く環境を整えるところまでフォローいたします。
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生活スタイルやら働き方の多様化が進む中で、学び方も一人ひとりの環境にあわせる必要があると考えて、リモートでも学べる仕組みを構築しています。
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また、技術はもちろんのこと、働くには車両、工具、保険などさまざまなアイテムが必要です
技術を身に着けるためのサポート、そして働きやすい環境を整えることに加えて、スタートアップ時に必要になるアイテムの支給までを考えています。
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当法人は、女性はもちろん、年齢・性別問わずあらゆるマイノリティの個性を大事にしています。
安心して働ける環境づくりのもと、トータル的なサポート体制をめざしています。
本当の「自立」とは独りでも生きていける力を養うこと!
理事・鳥羽理恵
主幹エリア関東
(商社勤務)
私が、当法人の活動に賛同したのは、理事長の熱い想いに共感したことがきっかけでした。
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その想いとは、「女性が、日常ではなかなか経験することができない電気工事の仕事を、もっと身近に感じてもらいたい」というものでした。
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私自身、現場に携わる仕事をしています。理事長とは、「現場で働く女性の悩み」や「同じ現場で働く女性メンバーの気持ち」「現実とのギャップ」など話ながら、意気投合したことを今でも鮮明に覚えています。
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一方、2021年現在では、2020年に発生した新型コロナウィルスの影響もあり、「気軽に集まる」ということが難しくなりました。
同時に、時代の流れにあわせて、自宅からでも電気工事士の資格取得のための授業が受けられるように、オンラインで受講ができる『e-ラーニング』を構築しています。
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授業内容は、当法人のキャッチコピー「人生ネタづくり 笑顔の種 拡げます」の言葉どおり、受講生の皆さんが和気あいあいと楽しめるものをカリキュラムにしています。
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当法人の活動の一環として開催している「第二種電気工事士」の学科試験対策の勉強会は、個人の方だけではなく企業さまも対象としています。
これまで開催してきた勉強会では、電気工事に携わったことのない方からも「試験の請け方がわかるようになった!」と感想をいただき、手ごたえを感じています。
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資格取得以外にも、現場での「実践トレーニング」と「フォロー」をしっかりと行える体制づくりを進めて参ります。
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当法人の活動目的のひとつに「女性の自立支援」があります。しかし、私たちが考える自立支援は「保護」や「援助」ではありません。本当の「自立」とは、独りでも生きていける力を養うことです。
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自らの力で生活ができる知識や知恵、技術を身に付けてはじめて、気持ちが前向きになり、精力的になれると私たちは考えます。
女性の背中を後押しできるよう、「自立」に向けた取組を考えながら、活動を進めていきます。
そのためには、当法人を支えてくださる賛助企業会員、協賛企業会員さま向けの講習も進めてまいります。
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2021年現在、「ウーバーイーツ」という事業と、隙間時間を活用しながらそこで働く若者が増え、ある種の社会的現象になりました。
私自身、「フルタイム・正規雇用」に拘らない事業と若者の働き方を見て、これまでと違った多様化を感じています。
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とはいえ、今の日本社会では、結婚・出産・子育てを行う女性のための環境整備がまだできておらず、働き難さは昔とほとんど変わっていないのも事実です。
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特に建設業界においては、労働安全衛生法などの課題が多くあり、働き方の選択はもう少し先になるのではないかと思っています。
このような課題解決に向けた取組みと、発信ができる法人をめざしています。